浮気・不倫調査ブログ
・現場研修初日-2
見習い探偵として臨む初めての現場研修は、開始から1時間ほど経過していた。
内容は、依頼者の夫の不貞を調べる素行調査で、対象者が自宅を出て勤務先へ出勤する
時点から尾行するというもの。
現場到着後に先輩の後ろについて「下見調査」「張り込み」を行い、対象者が自宅マンションの敷地から出てくる。
いよいよ「尾行」の開始である。
先輩の少し後ろについていく形で、対象者の後を追う。
自宅から徒歩2分ほどの所に最寄り駅があり、対象者は構内に入り改札口を抜けていく。
ベッドタウンに位置する駅で、朝の通勤時間帯ということもあり、駅の構内は混雑している。
人混みの中、自分は何とか先輩の背中についていくような状況であった。
改札の通過時にはポケットからICカードを取り出すのに手間取り、完全に対象者から目を離してしまっていた。
尾行開始早々、対象者というよりも先輩を追うような形になってしまったのである。
そんな自分とは対照的に、先輩は順調に対象者を追尾していく。
なかでも、先輩の動きを見ていて最も驚かされたのは、対象者との距離感と、撮影の方法・頻度であった。
まず、先輩は周囲の状況に合わせて、対象者との距離や位置関係を変えながら尾行を行っていた。
テレビドラマや映画では、刑事や探偵が対象者のすぐ後ろをつけていくような描写をよく
目にするが、実際に見た「探偵」(=先輩)の尾行は、それよりもはるかに緻密な動きに見えた。
その時の自分には、その動きは到底真似のできないもののように感じた。
(実際、今でも先輩方のように上手く尾行は出来ていないが…)
また、自分が想像していた以上に、尾行中に頻繁に撮影を行っていることに驚かされた。
対象者の動きについて、駅構内に入る姿、改札を通過する姿、ホームで立ち止まっている姿、
電車に乗車/下車する姿、勤務先に入っていく姿など全てカメラに収めていく。
また対象者の姿以外にも、駅の改札口の看板やホームに設置されている駅名看板、電光掲示板
など、場所や状況を示す情報の含まれたものについても細かく撮影する必要があることを知った。
その後、対象者は勤務先に出勤し、不貞につながるような動きはなく調査は解除となった。
今思い返せば特に動きのない調査であったが、自分にとっては「探偵」の仕事の現場、そして
先輩の動きを初めて目にすることができた、思い出深い調査であった。